「それで?」

「誰かに居場所を知られたら変えるしかない。
と言うことで、夏紀ちゃんはモミの木林の近くの蔵に移動させられたんですよ」

「と言うことは……芳樹さんは松の木の近くで監禁されてるかもしれない」

「恐らくは。追ってこないように」

狸翠は紘哉の肩から手を離した。
彼は、紘哉が持っていた書類を半分引ったくるようにして取る。

そして、その中からこの町の地図を取り出した。