「どうも」
「……何してるんですか。瀬野さん」
「いえ、別に。ただ…面白いかなと」
目の前には瀬野さん。俺が走っている途中でいきなり出てきた。っていうか上から降ってきた。もうそれくらいでは驚かないぞ。
「…おもしろい?」
「はい。人の恋路を邪魔するのが、です」
「人の恋次邪魔するとろくな死に方しないらしいよ!?」
「そうですか。でも、恋に障害はつきものですよね」
「そんな故意的な障害はあまりない気がするけどね!! そしてそこをどいてくれる!!?」
「お断りします」
綺麗な笑顔で断られた。
いや、だからね? 奏探さなきゃならないんだよ俺!
「なぜ? なぜ奏ちゃんを探すんですか? なぜそんなに急いでいるんですか?」
「…」
なぜだろう。
いきなり聞かれて、思わず固まる俺。そういえば何故俺は奏を追いかけているんだろう。いや、もうすぐ日が暮れるからだろうけどさ。でもなんかこう…釈然としないんだよね。自分のことなのに。

