「たっだいまーーー」
「お帰り」
「おかえりなさい。おばさん」
びっくりするタイミングで母が帰ってきた。
俺と奏が玄関で俺の母親を迎えると、母親はものすごい量の荷物を持ってきた。
俺と奏は依然ギクシャクしたままだ。
一体何をどう言えばいいのか俺にはわからない。
「お土産ーーー!! 二人で分けてね! そして行ってきます」
「待て。どこにだ」
再び玄関から出ようとする母親のえりを掴んで止める。
「久しぶりの街を観光してくる!!!」
「忙しいな」
「もちろん、奏ちゃんのお母さんといっしょよ!!!」
「お父さんたちは…」
「会社!!!」
…帰ってきてそうそう仕事か。かんばるな父親ズ。