「翔真が…離れていっちゃう」
やけくそじみた叫びをあげた奏はうつむき加減に顔を傾け、小さくつぶやく。
風呂場にいるおかげか、普段は聞き取れないであろう小ささの声でつぶやかれた声も聞き取ることができた。
「…どういうことだ?」
「…」
答える気はないとでもいいたのか、奏は俺と目線が合わないようにさらに下を向いた。
おいこら。
「言ってくれないとわかんないよ?」
「………」
奏は俺の手を握って微動だにしない。
…。
俺は軽くため息をつく。
すると、奏が怯えたようにこわばった。
「とりあえず、リビングで話そう。少しずつでいいから話してくれるな?」
「…………」
答えはない…と。
俺は奏を引き連れて脱衣所に出た。

