「夢か」
俺は顔の半分位まで湯船に浸かる。
「現実だよ。ほら」
「ひっ」
奏は俺の鎖骨あたりを撫でる。
冷たい手。なるほど現実だ。よくわかった。
「…」
「なんで無言で出ようとするの?」
「掴むな!! いますぐ出る!! ここから出る!!」
いつもの癖で風呂にもって入っていたタオルを腰に巻いて風呂場から出ようとする俺を奏では腕を掴んで静止した。
離せ!! マジで無理!! っていうかなんでいるの!? さっきまでいなかったよね!?
現実とはわかっていても、受け入れられないこともある。俺の容量はいっぱいいっぱいだ。

