俺よりも三つ年下の奏はこの辺で有名な進学校に通っている。もちろん共学。そこで47位は結構良い方なのだろう。

黒髪を背中の真ん中あたりまで伸ばしたロングに、優しそうな瞳。一見、おとなしそうに見えるがこいつはヤンチャっ子だ。ガキ大将。

「ねぇ、失礼なこと考えてない?」

「いや、別に」

疑いのまなざしを俺に向けてくる奏。失礼な。事実を語ったまでだ。


中学二年あたりまで男子とも友達感覚で付き合っていたこいつも、最近は異性として見ているらしいが……。

俺だけ異性として見られていない気がするのは何故だろう。


一応、ここは男の部屋なわけで、両親は共働きでいないし。二人きりだし。


普通は警戒心とか持つよな? なに? 警戒心を持たなくてもいいほど俺は信頼されてんの?

「翔、大学は?」

「今日は昼まで」

「へぇ~。なんだ、サボりじゃないのか」

「俺は至って真面目だからな」

「ふぅん……真面目、ねぇ」

なんだその目は。