「冗談だよ」
「…は?」
何かいい手はないかと考え続けていた俺の脳内に響く救いの言葉。
冗談…?
「昨日あたり、なんか私の方がいじられてた気がするからお返し」
「お前…」
「じゃ、着替えるわ」
「は…!?」
「ん? どうしたの? 顔が赤いよ?」
立ち上がり、肩紐に再び手をかける奏。
こいつ、本当に脱ぐ気か…!?
「相変わらず純粋だね。そんなんだからもうすぐ二十歳なのに童貞なんだよ」
「余計なお世話だ!! っていうかなんで知ってる!!」
「何を?」
「俺がど……」
俺はそこで言葉を詰まらせた。
自分で言ってて恥ずかしい。いや、童貞なのが恥ずかしいんじゃなくて、言葉にするのが恥ずかしいんだ。
「だって…夜には毎日家にいて、女の人もつれ込んでないし、そんな浮ついた話題も全然ない人が経験者なわけ無いじゃん」
なんでこいつは俺のことをそんなに知ってんだよ。近くに住んでるってだけなのに。

