「キッチン借りるねー」
「おー」
どうする。うちに泊めてもいいけど…。親の許可とるの大変だろうな。それに年頃の奴らが一つ屋根の下ってのも…。
「………………………」
俺ってこんなにバカだったんだな。何も思いつかねぇ。
俺が悩んでいる間に料理ができたのか、キッチンの方から俺を呼んでる奏の声がした。
「冷めないうちに食べて」
「はいはい」
俺が飯を口に運んでいると、奏がこちらを向いてニコニコしていた。
「なんだ?」
「おいしい?」
「まぁ…」
俺はお茶を飲みながら中途半端な答えをした。
おいしい。おいしいがこの雰囲気が…。
「なんか新婚さんみたいだねぇ」
「ぶはっ」
「汚いよ」
俺は急いでこぼれたお茶を拭いた。コイツ、俺が気にしてたことを…。

