そっと裕也の頬に手を伸ばすと、ぎゅっと握って頬に押し付けられた。 「おまえ‥‥本当は誰を想ってるんだ‥‥?」 目を伏せたまま、消え入りそうな声が問う。 「え‥?」 誰を‥?そんなの、決まってるのに。 いつも、私ばっかり好きで。 私ばっかり好きになっていって。 追いかけて。 私ばっかり。 なのに、ねぇ。 どうして、裕也がそんなに泣きそうな顔をしてるの?