菜々の部屋にはいつも生花が飾ってある。


綺麗なピンクの秋桜は菜々によく似合う、可愛らしい花だなぁなんて思っていた。


「ごめん。」


僕の話を聞いた菜々は一瞬泣きそうで、でもすぐに凛としている。


あぁ、菜々はこんなにも強い子だったんだと今、初めて知る。



泣いて泣いてぐだぐたになる美紀子には似ていなかったんだ。


「菜々は、強いな。」

思わず言ってしまった言葉に、


菜々は、
「どうでしょう?素直になれないからなだけ。かな。だって泣いて泣いて、行かないでって言うなんてすごく勇気がいるから。私には言えないです。だって南さんには守るべき家庭があるもの。」


菜々はソファーから立ち上がったとき、テーブルの上の秋桜がひらりと散った。



僕達の関係に終わりを告げるように。