菜々はするりと僕の腕の中から抜ける。

まるで猫のよう。


ベットから出ていく姿は今まで僕が知らなかった櫻井菜々だ。


僕はその様子をぼんやりと眺める。


バスルームに彼女は入った。



やがてシャワーの音が聞こえてきた。


そうか、今日は仕事なんだ。

僕も支度しなければ。

僕もベットから出て洗面台の前に立ち顔を洗う。





鏡を見て、髭剃がないことに気付いた。

マズイ。

髭も剃らずに会社に行くわけにはいかない。

後で菜々に剃刀がないかきいてみよう…。