今回メトロポリスに来る時、初めて太陽系からギャラクシー間航行のポートまでのワープとメトロポリス郊外のポートまでのゲート通過を体験したけど、窓もない大型船の客室じゃやっぱり実感なんてなかったしな。


短い金髪を軽く立てた小柄でかわいらしい少年ラマルカと、ダークブラウンの長髪を後ろで束ねた凛々しい少年ユハンの自己紹介を聞きながらぼんやり考えていたが、思考は放送の声に中断された。


♪陸天野、至急第1チェンバーに出頭せよ♪


「……?」


優雅なホテルにはあまり似つかわしくないぶっきらぼうな男の声での呼び出しだった。


多岐に渡る試験を受けるため2週間ここに滞在していたが、こんな名指しの呼び出しを受けるのも、聞くのさえ初めてだ。

首を傾げて、何事もなかった様に一度中断されたクラシック音楽の続きを奏でている天井のスピーカーを見上げる。


「お、おい、陸天野。
早く行った方が良いんじゃないか?」


「ん、ああ、そうだな。」


ユハンの言葉に促され、俺は立ち上がりラウンジを後にした。