苛立ちに任せてサンドイッチにかぶりつく。


ん、なかなか美味い。

単純が一番。

美味しさで機嫌が直り始めた頃、こんどは二人組の男に声をかけられた。


「お前すげえな。
さっき、ルーキャスタ様に声かけられていただろ。」


「しかもお前が去る後ろ姿を王女は見つめてたぜ。」


そして俺が口の中のサンドイッチを飲み込む頃には、奴らは俺の向かいに座っていた。


「何の話だ?
まずは人違いをしていないかを聞きたいね。」


同い年くらいだし腕に受験番号の刻まれたパスをしているから、今回の入学試験の受験者である事は間違いないが、話しかけられる様な事をした覚えはない。


「人違いって、今さっき見てた奴を間違えるかよ。
お前、窓際から移動してきた奴だろ?」


怪訝そうな顔をした奴らを、同じくらい疑わしげな目で見返してやりながら頷いた。


「じゃあとぼけても無駄だぜ。
俺たち全部見てたんだから。
ラウンジに来た王女が真っ直ぐお前の席に行き話しかけ、彼女が座るとお前が去った。
何か機密事項の伝達とかか?
まじすげえなお前。」


羨望に似た暑い視線を送って来る4つの瞳から目を背けながらも、話が少し読めて来た。