コスモポリタン

「二週間に渡る試験で、きっとお疲れになったのですね。お部屋で少しお休みになるといいです。
ロベルトにリラックスできるハーブティーをもらったのです。いれてさしあげます。」


並んで廊下を歩くエリアからは柔らかな甘い花の香りが微かに香る。

コロンを使うようになったのね。

花の花弁の上でうたた寝する妖精を思わせるような
エリアによく似合う趣味のいい香りだ。


「それにしても、珍しいことがあるものなのですね。ロベルトがルーキャスタをおいて行くなんて、私の知る限り初めてのことのように思います。」


ちょっとしかめた顔さえ愛らしいエリアに、自然と微笑みがこぼれる。


「私はいつもロベルトと一緒なわけでもないのよ。
そんなにおかしなことじゃないわ。」


それでも、納得がいかないと言った表情でなにやら考えているそぶりだった。

が、それはほんの一時のこと。

すぐに妖精には笑顔がもどり、私たちはたあいもない話をしながら、この二週間を過ごした自室に向かって廊下を歩いた。