特に、太陽系の外でもノンオイルの青じそドレッシングに出会えるなんて、地球内に収まらない和食の評価の高さの現れで、日本人としては嬉しい限りだ。


ウェーターが優雅な仕草で運んで来たサラダを一人頬張っていると、突然声をかけられた。


「ここに座ってもよろしいかしら?
ミスター陸天野。」


向かいの席を示して話すのは、スレンダーボディーの美人だけど気の強そうな目をした女だ。

高飛車な話し方や纏っているピリピリした空気が気にくわない。


「どうぞご自由に。
俺は移動しますから。」


すぐさま席を立ち、さっきのウェイターの真似をして、少し気取った仕草で皿とグラスを持ち上げた。


ぐるりとラウンジを見回すと、席は半分以上空だ。


さすがに窓際を望むのは無理そうだが、女の方は振り返らずに、大きな鉢に植えられた木の陰の落ち着きそうな席に移動した。


何だったんだ、あの女。

こんだけ席があるのにどうして好き好んで知らない奴と同席したがる?

意味わかんねえ。

ああ、それにしてもなんか鼻につく奴だったな。

とげだらけな王女様オーラが出まくってて苦手だ。