コスモポリタン

「そういや、情報と言えば、この試験の詳細って異様に情報量少なくないか?
膨大な量の参考書の指定はあったけど、過去問はおろか合格最低点も不明だったし。
ってか、そのせいで試験がんばりすぎて呼び出されるはめになったわけだしさ……。」


と思わず本音が漏れて、はっとして美少年を見返すと、俺の言葉に鳶色の瞳を輝かせいっそうおもしろそうにこちらを見つめてくる。


「つまり天野君は合格最低点が分かっていれば、その点ぎりぎりで合格する事をねらうと言う事ですね。
なるほど、地球の学校ではいつもそれを実行していたから常に最下位を独走していたわけですか。」

と腕なんて組んで見せる。


「な何でお前が地球の学校での事まで知ってるんだよ。」


俺の経験上勉強のできる奴ほどサボる奴をやたらといやがる傾向にある事を知っているだけに、首席合格者を前に口を滑らせたと今更気づいた。


「合格発表の後、地球代表の李君に天野君の事を聞いてきましたから。」

が、とこれまた愉快そうに言ってのける美少年には、機嫌を損ねた様子はなかった。