右隣を伺うと、楽しそうな笑みを浮かべたロベルトが、私の左隣の空席に座る陸天野を見ているのが分かる。

そして陸天野自身はチェンバーに集まった面々をきょろきょろと見回していた。


演台の後ろのスクリーンやプリントを用意する慌ただしい音が響く室内。


「……面白い男が現れたものじゃの。
陸天野、うつけかはたまた……。」


雑音に紛れてしまうくらい小さな呟きではあったけれど、私の耳には確かに聞こえた。


思わずぱっと声の主を見つめると、目があう。

そして白髪の老人はいたずらっぽくウインクを返して来た。