ランチのためにホテルに向かいながら、つい周囲の人間の腕のパスのナンバーをのぞいてしまう自分を少し笑いながらも止められない。

こんなに大勢いるのだから、こんな方法で見つかるはずないのに本当におかしいわね。


ホテルのラウンジは昼時なのに意外とすいていた。

たぶん今この辺り一体の人間は広場に集中していて、その他は過疎化しているからだろう。


それでも、腐ってもランチのゴールデンタイム、窓際の落ち着いた席は埋まっているみたい。


ラウンジの入り口から辺りを見回しながら、やはり客の腕を確認して、私は目を疑った。


30メートルほど離れた炭の席に一人座りホークでサラダをつついている黒髪の少年。

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視力はかなり良い方だから、この距離からでも見間違わない自信はある。


つまり目を疑うって言っても視力の心配をしているわけじゃなくて、たんに確率的に起こらないと思っていた事態に直面して驚いてるって言う比喩よ。


鼓動が早くなるのを感じる。

私、わくわくしているわ。