コンコン…
「サホ、入るよ」
ユキナお姉ちゃんが私の部屋に入ってきた。
「サホはさ…今の生活、楽しい?」
「……」
そんなの当然。
学校でヒナノ達とバカやって、家では本当の家族ではないけど温かい家族がいる。
今の生活を捨てるだなんて、出来ない…
でもお母さんの事を考えるとどうしても本当の事が言えない。
「私はね、サホがいるこの生活が楽しい。ずっとサホと一緒にいたいよ?でもね、サホがお母さんの所に行くなら、私は何も言わない」
「ユキナお姉ちゃん…」
ユキナお姉ちゃんの優しさに涙が溢れ出した。
「もぅ、泣かないの!可愛い顔が台無しだよ」
「だって…」
首にかけられているネックレスをぎゅっと握った。
「お父さん達だって同じ気持ちだと思うよ。サホは自分の行きたい道に行けばいいんだから…」
お姉ちゃんは目にうっすら涙を滲ませながら私を抱きしめてくれた。

