ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~


「何が言いたいの」
「いいや。ただ、人間の愚かさはどんなに時を経ても変わらないものなのかと思ってね」
 肩を竦めるフジオミを、シイナは苛立たしげに睨んだ。
「私の行為が愚かだと言いたいの」
「耳に痛い真実は素直に聞けないものさ。僕が何を言っても君の耳には冗談としか聞こえないようにね」
 シイナの手が上がった。
 その手は鋭く風を切り、フジオミの頬を打った。
「――いきなり、それはないんじゃないか」
 あくまで彼は冷静に問う。それがシイナをより怒らせることを知っていながら。
「人類は滅びないわ。フジオミ、あなたには選ばれた者としての自覚が足りないようね。くだらないおしゃべりに時間をつぶす暇があるのなら、マナの心配でもすればいいわ」
「マナ、マナ。君の口から出る言葉はその名だけだな。まるで恋しているみたいだ」
 フジオミが息をつく。
「君自身の望みは? 君が君のために望むことは、何もないのか」
「私の望みは、マナが叶えてくれる。それこそが望みよ。そのためには、何を犠牲にしてもいい」
「じゃあ、僕の意志も? マナを愛していなくても、それが義務だと」
「ええ。そうよ。あなたとカタオカだって、私に義務を強いたじゃない。私はあなたを愛してもいない。それでもあなたは抱いたわ。同じ気持ちで、マナも抱けばいい。
 大いなる目的の前には、個人の些細な感情など、意味を持たない。あなたとカタオカが私にそれを教えた。あなたには責任がある。義務がある。特別な人間なのよ。それを、もっと自覚して行動しなさい」