「まだマナは見つからないの!?」
 一日おきの外からの通信は、シイナにとって決して喜ばしいものではなかった。
「捜索を続けなさい。あらゆる廃墟を探すのよ。見つかるまで、帰ってくるのは許さないわ!!」
 叫んで、シイナは通信を無理矢理切った。
「――」
 苛立ちでおかしくなりそうだ。
 捜索に向かわせたクローンは、そのほとんどが外に出たことのない者達だった。
 それ以外のクローンはドームを維持する重要な仕事についているため、そこを離れられない。
 かといって、シイナが自ら行くことは許可されない。
 彼女はあくまで指揮することを許可されただけ。
 捜索中彼女の身に何かあっては困る故に。
 シイナは、このドームの全てを掌握している。
 全ての機能は彼女を通じて円満かつ円滑に行なわれるのだ。
 カタオカは指導者ではあるが、事後報告という形で把握するのみ。
 その全権をシイナに任せている。
 彼がシイナより強い権限を持つのは、あくまで議会においてだけなのだ。
「――」
 カタオカも、その他の議員も、クローン達も、シイナにとっては役に立たない厄介者にしか思えなかった。
 考えることさえ放棄した人間達。
 受け身にしかなれない無能者。
 役に立たないのなら、生きている価値さえないのに。
 いっそ一思いに殺してしまいたくなる。
 生きていなくてもかまわない。
 さっさと死んでくれればいいものを。