「ユウ――」
「おじいちゃんの言うとおりだ。俺には、何も手に入らない。いつでも、俺は独りだ」
 老人はかすかに首を振る。
「独りではないよ。おまえは、決して独りではない」

「――だって、おじいちゃんは逝ってしまうじゃないか。
どんなに俺が頼んでも、みんな先に逝ってしまうじゃないか!!」

「ユウ――」
「いつだって、俺は独りだ。みんな俺から離れていく」
 涙の伝うユウの頬を、老人は引き寄せ、横たわったままの胸に抱いた。
「ユウ。私が死んでも、おまえは独りにはならない。
マナがいるよ。あの子が、おまえの傍にいてくれる」
 ユウはかすかに首を振る。
「――マナだって、いなくなる」

「いいや。マナはおまえを選ぶよ。
きっとずっと、マナはおまえといてくれる。
私達が与えてやれなかったものを、マナが、おまえに、惜しみなく与えてくれるだろう――」