前世紀の人間達は愚かだったと、シイナは思った。
彼等の代なら、まだ未来を救うことは出来たはずだ。
女性は、まだたくさんいたのだから。
だが、彼女等は未来を考えなかった。
兆しはあったろうに、未来を救うことを放棄した。
女達は、自分達の子供を産むことに、あくまでもこだわった。
自分達に連なる子供を産むことにだ。
その結果が、今の未来だ。
己れのエゴで、未来が滅ぶというのに、なぜ、誰も、強制的にでも彼女等を従わせなかったのか。
そして、そのつけを、なぜ、今、自分達が支払わなければならないのだ。
わずかに血を繋いできた人間がこのドームで暮らしてきてからすでに2世紀が経とうとしていた。
いくら耐久性に優れていても、当時の科学力で造られたものでは年月には勝てない。
新たに造り出すには、人員も、技術も、資源も、少なすぎるのだ。
このままでは、半世紀も待たずに人間は滅びる。
いきつく思考に、シイナは身を震わせた。
「――いいえ。まだよ、まだだわ。まだ、私達は救われる。マナが、救ってくれる」
きつく、シイナは唇を噛みしめた。


