ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~


 小高い山を登りきり、マナとユウは下の景色を見下ろしていた。
 もっと西には深緑に覆われた山がそびえている。
「ここからの眺めが、一番綺麗だ」
「ええ。とても綺麗だわ。なんて深い緑なのかしら。なんてあざやかな色なのかしら。山も素敵ね。霞んだ緑が、とても綺麗」
「おじいちゃんが言ってた。あそこは、霊場だったんだって」
「れいじょう?」
「死んだら行くところだって」
「? 死んだらどこにも行けないわ」
 当たり前なマナの問いに、ユウはかすかに笑ってしまう。
「あ、今あたしのこと笑ったでしょう」
「うん」
「だって、おかしいわ。死んだら動けないわ。生命活動が終わるってことだもの」
「身体が行くんじゃないからさ」
「身体以外、人間に何があるっていうの?」
「魂」
「たましい?」
「意識さ」
「死ねば意識は失くなるわ。意識が失くなるということが、死ぬってことだもの。違うの?」
「おじいちゃんは、身体が死んでも、意識は死なないって言ってた。身体はかりそめの器で、俺達はみんな、その器に入っているだけなんだって」
「かりそめ?」
「一時的なってことさ。おじいちゃんがよく使う言葉だ」
「そんなの、聞いたことないわ」
「じゃあ、おじいちゃんに教えてもらうといい。おじいちゃんはそういうことにすごく詳しいから」
 言い終えると、ユウはまた遠くへと視線を向けた。
 だが、マナはユウの先程の話を心の中で反復していた。
「でも、綺麗なところへ行くのはいいことだわ。だって、もし淋しくて何もないところへ行くのなら哀しいもの」
「そうだな」
 それから二人は、景色を見ながら、昼食を取った。