「ねえ。あたしたち、怒ったりしそうになったら、ほんの少し我慢して考えましょう。自分の気持ちをきちんとわかってもらうためには、どんな言葉を使えばいいのか。どう言えば、きちんと伝わるのか、そういうことを、一緒にやっていきましょうよ。そうしたら、きっともっと仲良くなれるし、お互いを好きになれるわ」
「俺は、今だってマナが好きだよ」
「ええ。あたしもユウが好きだわ。でも、やっぱりそれって、言葉にしなくちゃわからないじゃない? あたし、今ユウと話せてよかったわ。ユウの考えてること、ユウが言葉にしてくれたからきちんとわかったもの。あなたも、あたしが考えてたこと、わかってくれたでしょう?」
「ああ」
「ね、そんなふうにお互いのこともっとわかったら、喧嘩しなくてもよくなるわ。それに、前よりもっと好きになれるわ。だから、これからはたくさん話をしましょう」
 一生懸命に語るマナに、ユウは微笑った。
「わかった」
「よかった。じゃあ、あたし、もう寝るわ。おやすみなさい」
「ああ。おやすみ、マナ」
 背中を向けてから、マナは思い返したようにマナは振り返った。
 そして、ユウに言う。
「ねえ、ユウ。明日からあたしにも、料理の仕方を教えてくれる?」
「マナ!? 無理しなくていいんだ!!」
 また何を言いだすのかといったように、ユウは困った顔をした。
 だが、マナはユウが先程言ったように、自分で考え、自分で決めるには、もっとたくさんののことを知らなければならないのではないかと思っていたのだ。
 そう話すと、ユウは素直に納得してくれた。
「一緒にいるんだもの。あたしもできることをしなくちゃ。でも、自信がないから、ちゃんと教えてね」