マナの落ち着いた言葉に、シイナは無表情な顔をほんの少し歪ませた。
「あなたは、自分が何を言っているかわかっているの?」
「ええ。あたし、彼を愛してるの」
「何を言っているの? 愛だなんて、あなたは勘違いをしているのよ。ユウと行くなんて、彼は死んだわ。できっこない。生きていたって許されるわけはないでしょう?」

「あたしが、ユカのクローンだから?」

 シイナは驚いてマナを見る。
「マナ――」
「知ってるのよ、あたし。でも、知っていてもユウが好き。親子でも構わない。そんなことにもう意味はないから。どうせあたしたちの間に子供は産まれない。あたしたちは、ただ一緒にいられるだけでいいの」

「許さないわ、そんなこと!!」

 鋭い声と同時の銃声。
 肩に近い髪の一房を、弾が掠めた。
 硝煙と髪の焦げた匂い。