天井を見上げると、湯気の向かう換気用のダクトが開いたままになっている。
 ここは全ての区域と繋がっている。
 フジオミにはわかった。
 マナはここを出ていくつもりなのだ、自力で。

「ユウを待たずに、自分の力で、君はここを出ていくのか…」

 フジオミは不思議な感慨に囚われた。
 自分より一回りも年下のあの少女は、もはや自分達とは違うのだ。
 自分の目で見、自分の頭で考え、判断し、行動できる。

 なんて、強い。

 マナは自分達とは違う。
 とても強い。
 その強さで、きっと彼女は望むものを得られるだろう。
「――」
 フジオミは、急いで部屋を飛び出した。
 自分も、動きださなくてはならない。
 自分にも、できることがあるのだ。
 彼女の望みを叶えるために。
 いつになく気分が高揚しているのを、フジオミは嬉しく感じていた。
 自分が何をしたいのか、どうすればいいのかわかることは、とても気分がいい。
 これでやっと、自分も動きだせるのだ。