「では、私にはもう、何も言う資格はない。フジオミ、君が決めたまえ。君の決定に、私も従うよ。それが例え、シイナの計画に反することでもね」
「カタオカ――」
「もう、終わってもいいんだよ。自由になりなさい。終わることが決まった世界に義理立てすることは、もうないんだ。彼女も、それをわかってくれればいいのだが」
カタオカはスクリーンの中の濃い闇が、やがて穏やかな光を増していくのに気づいた。
朝が来る。
何が起ころうとも、世界に変わりはない。
等しく、誰の上にも朝は来るのだ。
「さあ。少し休みなさい。君は疲れている。私のベッドを使うといい」
「ですが、あなたは――」
「私は少し仕事を片づけるよ。行って休みなさい」
促されて、フジオミは素直に従った。
隣の部屋へフジオミが消えると、カタオカはゆっくりと椅子に腰掛けた。
徐々に明るくなる部屋に、もはや明かりはいらなかった。
夜明けの光は優しく室内を満たしていった。


