「何を見ているの、フジオミ?」
問われて、我に返る。
「ああ。仕事となると、君はまるで人が変わったようだと思って」
「あなたにはおかしいでしょうね。でも、これが私の役目ですもの」
「いや。君はたいしたものだよ。ここを仕切っているのは実際君なんだし、君の決定がなければ僕を含めた他の人間は、何一つ満足に決められはしないだろう。君がここまで、僕等を導いてきたんだ」
「フジオミ――?」
「本当に、君はすばらしい女だ」
真っすぐに見つめる眼差しに、シイナは珍しくも狼狽えるそぶりを見せた。
今までのフジオミとは違う――そう感じているのが表情でわかった。
自分でも驚くほどだ。
「フジオミ、あなた――」
だが、シイナが問いかけるより先に、フジオミは席を立った。
「もう行くよ。邪魔をしたね」
「あなた、ただコーヒーを飲みに来たの!?」
「いいや。ただ、君の顔を見に」
その言葉さえ、普段のフジオミならば皮肉げに響いたことだろう。
だが、今シイナが聞いたのは、偽りのない真摯な告白だった。
「待って、フジオミ」
部屋を去りかける彼を、シイナは呼び止めた。
フジオミが振り返る。


