見たこともない容姿だった。彼女が今までに見た人間やクローンは皆髪も瞳も黒かったのに。
 だが、ここにいる少年は違う。銀の髪に赤い瞳。抜けるような白い肌を持っている。
「あなたは、誰――?」
「ユウ」
 低い声で、少年は名を告げた。
 端正な容姿は、まだ少し、少年らしいあどけなさを残している。
「ここは、どこ?」
「ドームの外だ」
「え!?」
「ドームの外だ」
 繰り返し、少年は言った。
 それでも、マナはその言葉が信じられなかった。
 さっきまで自分はドームにいたのだ。それなのに、どうして。
 マナの思いを察してか、少年は身体を預けていた壁面の布から身体を離し、それをざっと横に引いた。
 布のかけられていた壁にはそのままガラスをはめこんである。
 この剥出しの作りは、何世紀か前の物だと彼女は確信する。
 そしてその向こうには、彼女のまだ見たことのない世界が拡がっていた。

「嘘……」