ユウの気配がそっと離れていくのがわかる。
もとに戻る。
簡単な言葉だった。
けれど、そんなことはもうできはしないのだ。
それを、二人が一番よく知っていた。
老人はもういない。
自分がドームへ帰ったら、彼は一人になるのだ。
たった一人で、残る生涯を過ごすというのか。
「――い、一緒に行きましょう、ユウ。そうよ。博士に頼むわ。あなたが一緒に暮らせるように」
振り返りざま、マナは言った。
「できない」
振り返らずに答えるユウ。口調は苦しげだった。
だが、マナにはわからなかった。
手に持っていた靴を放り出し、駆けよる。
「一人なんて、だめよ。あたし、あなたをおいては行けない。お願い、一緒に行きま――」
「そうして、あんたとフジオミを見てろって言うのか!! 一生黙って!?」
マナの言葉を、ユウが遮る。
両手を伸ばし、力を込めマナを引き寄せた。
「――」
マナの驚く間もなく唇が重なった。


