陽が、傾いていた。
一日が終わる。
二人は裸足のまま砂浜を歩いていた。
両手に靴を持って、まだあたたかな砂の感触を確かめるようにゆっくりと。
「マナ――」
小さな声に、ユウよりもほんの少し先を歩いていたマナは、静かに振り返る。
「何?」
「帰っても、いいよ」
「え――?」
聞き返したマナに、ユウは繰り返す。
「帰ってもいいよ。今なら、止めない。あんたは戻りたい場所がある。フジオミと、行けばいい」
その言葉に、マナは驚きを隠せなかった。
彼の口から、そんな言葉を聞こうとは思ってもいなかったのだ。
ユウはマナと目を合わせないままだ。
「ユウ、あなたはどうするの」
「――俺は、もとに戻るだけだ。ただそれだけだ」
そう言うと、ユウは再び何もなかったかのように歩きだした。
マナを通り過ぎ、ただ静かに。
砂を踏む音も波に重なり聞こえない。
マナはしばし、その場に立ち尽くした。


