だが、自分はいつでもおいていかれる者なのだ。
 どんなに愛されていても、彼らは死んでいく。
 自分よりも確実にはやく。
 たくさんの死を見てきた。
 本当に、たくさんの死を。
 おいていかないでくれと、一緒に連れていってくれと、何度泣いて縋っただろう。
 それでも、願いは叶うことなく、一人、また一人と逝ってしまった。
 いつしかおいていかれることにも慣れ、静かに、死を受け入れるようになった。
 本当は、ずっと恐れていたのだ。

 一人になってしまうことを。

 老人を失った。
 母親も失った。
 それでも、まだ生きている自分がいる。
 恐怖さえ、今はもうない。
 マナがいるからだ。
 マナがいるから、まだ生きていられる。
 老人の言葉が、今あざやかに脳裏に響く。

私達が与えてやれなかったものを、マナがおまえに、惜しみなく与えてくれるだろう――

 その通りだった。
 癒されないと思っていた傷も、渇いた孤独も、自分に欠けた全てのものを、癒してくれたのは、あの少女だった。

 マナでなければ、駄目だったのだ。