「シイナ!!」

 管理区域のヘリポートへ向かう途中の彼女を呼び止める声。
 もちろん、フジオミだ。
「何の用?」
 うんざりした口調で振り返るシイナ。
「さっきのコールは? 何かあったのか?」
「マナの居場所がわかったわ。捜索隊のレーダーに確かな生体反応があったそうよ」
 それだけ言うと、シイナは、また歩きだした。
 が、その横に、フジオミが並ぶ。
「僕も行こう」
「何ですってっ!!」
 あからさまに非難の眼を向けるシイナに、フジオミは一向に頓着しない。
「近い未来の〈妻〉を、救いにいって何が悪い?」
 口調には、揶揄するような響きが残っていた。
「――私の邪魔をしたら許さないわよ」
「仰せのままに」