びくんと、ユウの身体が跳ねた。
「……?」
目を覚ます。
自分を覗き込んでいるマナの顔を視界に捕らえ、些か驚いているようだった。
「ユウ…」
「マナ――どうして、俺、何で…?」
「倒れたのよ。よかった、おじいちゃんみたいに死んじゃうかと…」
それが限界だった。
「マナ?」
マナの大きな瞳から、見る間に涙があふれる。
マナがユウにぎゅっとしがみつく。
「マナ、ごめん。心配かけたね」
「あたしをおいていっちゃいや。ユウもおじいちゃんみたいにあたしをおいていくのかと思ったわ」
「行かないよ。マナをおいて、どこにも行かない」
「行くんなら、二人で行かなくちゃ。一緒に行かなくちゃいやよ」
マナは涙に濡れた顔を上げて言う。
ユウはなぜか強ばった顔でマナを見下ろしていた。
「……俺と、一緒に――?」
「ええ。二人ならどこにでも行けるわ。おじいちゃんも言ってたもの。ユウは、どこにでも連れていってくれるって」
ユウは、何か考えているようにも見えた。
瞳には、何か強い意志が感じられた。
「マナ、本当に俺と一緒にいく気がある?」
「ええ」
「後悔、しない?」
「しないわ。だって、ユウと一緒におじいちゃんのところに行くんだもの」
ごくりと、彼の喉が鳴った。
何かをためらっているようにも見えた。
「じゃあ、目を閉じて…」
言われるままに、マナは目を閉じる。
「少し、苦しいかもしれない――」
「少しでしょ。いいわ」
首筋にかかる指は、なぜか震えていた。


