「痛―――い!」 羽純が青ざめた顔で花束を手放した瞬間、床に薔薇が散らばり、美夏は急いでそれをかき集めた。 「大丈夫?」 千紘が駆け寄った。 美夏は手を振って笑顔で答えた。 「もう、羽純、びっくりするじゃない」 「え? ああ、そう、棘が、棘が危ないと思って…かえってごめん」 「美夏、大丈夫か? 早く水で洗って…」 聡が駆け寄った瞬間、庭で子供の激しい泣き声が聞こえた。 窓を振り返った羽純が、悲鳴をあげる。 「遊が、道路に出てる!」