「えっと、そっちは?」

「わ、私!?私真希。上田真希」

「真希……ええぇ!やっぱり上田真希!!?」


や、やっぱり??

どういう意味??


「え、やっぱりって??」

「あ、いやなんでもな――」

゛えっ!?上田真希!!?何々?瑛上田真希と話してるの!!?″


電話から違う人の声が聞こえた。


゛ねぇ~真希ちゃんと話させて~″

電話からさっきの男の声がする。


「あー!うるさい!!まぁ、いろいろとお前に迷惑かけて悪かったな。それじゃあ」


ブツッ


いきなり電話を切られた。


「……なんなのー?」


とりあえず、間違い電話には変わりない。

けど“やっぱり”が気になるなぁ。

声が私だって思ったのかな??

んー!悩んでてもしかたない!

ここは風呂に入ってすべて流すべき!!


「よっしゃ!風呂風呂♪」


スキップしながら風呂場に向かう。






シャワーで体を洗って、暖かい風呂の中に入る。


「上田瑛……か」


バシャッと顔を風呂につけた。




そう、彼との出会いは間違い電話がきっかけだった。

あの間違い電話がなかったら私たちは出会わなかったかもしれない。

でも、あれは本当に間違い電話だっただろうか。