8回まで1人のランナーも出さないピッチング、一方、晴久はヒット1本に抑えて9回に突入した、八王子リトル側のベンチに審判らが集まっていた。審判「佐藤君、腕と肩の状態を確認したい」晴久「平気ですよ、仮病です」審判「隠していても無理だよ、君が故障を抱えているのはわかっているからね」晴久「見てどうするんですか?」審判「場合によってはピッチャーの交代をさせる義務がある」晴久「他にピッチャーはいないんだ、伊藤は怪我で出れないし、試合をやめて負けろと言うのか?」審判「そうだ、棄権もやむなし」晴久「あり得ない、決着を着けたい」山下監督「主審、危ないときは棄権しますから」審判「分かりました」、池田「ここで点入れないと負ける、うちには他にピッチャーがいないんだ」9回表は、ツーアウトに追い込まれた。田所「負けるな、ごめん」晴久「全力出せればそれで」、茂島がフェアボールで出塁、池田「晴久、絶対打つからな」、中谷に打席が回ってきた、茂島が盗塁を仕掛け成功、桐山「ふざけんな」相沢「落ち着け」、晴久「茂島さん」中谷「何?やってんだよオレ、4番だろ、ピッチャーの晴久に打たせてんだよ、オレは打たずに」、中谷は2球目を叩き、ファーストが取り損ねて、シングルヒット、泉が打席に立つ。第2球目を投げるとき、中谷がベースから離れすぎ、桐山「離れすぎ、ゲームセットだ」中谷「ヤバ」同時に三塁の茂島がホームに突っ込む、微妙なタイミング、晴久「あ」相沢「ゲームセットか勝ち越しか?」球審「スコアタダン」判定はセーフ、池田「勝ち越した」相沢「そんな」桐山「まさか」桐山「すまん、相沢」相沢「気にするなって、まだ裏の攻撃があるんだ」、9回裏、群馬リトルの攻撃、中谷「佐藤、あとアウト3つで日本一だ」晴久「はい」晴久「痛っっ」中谷「大丈夫か?」晴久「うん」晴久「ヤバイなぁ痛みが強くなってきやがったぁ」、晴久は痛みのせいか、コントロールが定まらず連続フェアボールを出してしまった、桐山「乱れてきた、チャンスだ」相沢「打ってくれ、俺まで回してくれ」次の打者は井田、井田は内野安打、池田「クソ、ノーアウト満塁だ」鈴下監督「そうか、佐藤は痛みで速球がストライク入らんのや、甘い球なら入る」鈴下監督「甘い球を狙っていけ、シングルでもサヨナラだぞ」晴久は痛みをこらえながら球速を落とし低めに投げ瀬田をキャッチャーフライで打ち取る、桐山が打席へ、桐山「絶対打つ」晴久は3球続けて外れた。池田「晴久、際どいとこは止めとけよ、押し出したら負けるぞ」晴久は低めに投げた。桐山が打ち返した、ボールはギリギリファール、池田「クソ、低めに狙ったのに」晴久「ダメだ」、晴久は際どいコースに投げた、池田「マジかよ」判定はストライク、桐山「何」池田「危ねぇ、審判によってはボールだぞ」池田「すげぇ」。鈴下監督「ふーん、サヨナラ押し出し寸前で際どい低めのインコースとはいい度胸だ、しかも9回で、スタミナとコントロールに自信なきゃあ絶対無理だ、しかも肩を痛めているしプレッシャーも死ぬほどある、この状況では9分割制球は無理だ」5球目はインコース高めの際どいとこ、桐山「どうだ、微妙だ」、判定はストライク、桐山「何また」鈴下監督は桐山に打つなと合図した。鈴下監督「マグレだ、サヨナラ押し出しだ」6球目、低め一杯のアウト、桐山「微妙だ」審判「ストラックアウト」桐山「何バカな」鈴下監督「見逃し三振だどぉ、なんでこんな状況で9分割制球が出来るんだ」晴久「あとひとつ」、