決勝戦、前夜、山下監督「明日の先発は」晴久「僕が行きます」山下監督「佐藤君」、晴久は池田を呼び出した、池田「珍しいな、アイツから話しかけてくるなんて」池田「どうした、明日の試合気になるのか」晴久「いや、僕、明日が最後のマウンドになるかもしれないんだ、肩やばそうだし」池田「だったら投げるなと言いたいがどうせ聞かないんだろうし、だがそれが気に入ってる」池田「そんなネガティブなこと考えるな、絶対勝とう」晴久「うん」池田「晴久、マウンドの外では弱気でウジウジしてムカつく時あるけど、マウンドでは格好いいぜ」、群馬リトル側、鈴下監督「相手側の先発は佐藤晴久、12歳、9分割のコントロールにMAX124kmのストレートが武器だ、変化球はない、臭いとこをしかも速球でついてくる、見逃し三振を多く取っている」桐山「速いな」、相沢「何9分割って、ストラックアウトとかいう9枚のターゲットを9球で打つ抜くことができる制球力」鈴下監督「そういうことになるな」桐山「すげぇ」須藤「つまり相沢さんとは正反対ということすか」相沢「ノーコンじゃねぇよ、難しいんだからな」、晴久の投球映像を見る、相沢「なるほど、確かにあの速球でコースに決められたら手が出ないな、フェアボールは期待できないし」桐山「でも変化球がないのが幸いしたな」鈴下監督「その上、佐藤は足も速いしスタミナはトップクラスだ、打席でもホームランもヒットもよく打つ」相沢「でも、4番は中谷になってるな、打率では佐藤が4割アタマに対し中谷は3割アタマしかない、ホームランも少ないしな、しかも下位打線に入ってるし、意味不明なチームだな」相沢「弱点ねぇと投手戦になるな」鈴下監督「弱点ならある」準決勝のビデオを見る、鈴下監督「準決勝では佐藤が先発して6−2で勝っている、その1点はホームランだ」桐山「それが」ビデオには晴久がホームランを打たれ座り込んでいるところが写っている」相沢「何だホームラン1本でかなりショック受けてんのか?コイツは精神的に弱い」鈴下監督「偵察した人の話によると佐藤は気が弱い、泣いていたとこも目撃されている、つまりホームラン1本でも打てれば崩せる、明日はとにかく、デカイの打つつもりで行け」、八王子リトル側、晴久「準決勝で、試合で初めてホームラン打たれた、何かとても嫌で、悔しくて、泣きそうになった、そんな弱気じゃあ、僕はピッチャーに向いているのかな?明日の決勝、何点取られるかな」