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「柚愛(ゅぁ)ーーー!!!」
「……どうしたの、裕子??」
「見て!!これ、新刊が出たの!!」
目をキラキラ輝かせながら、裕子が興奮気味で言った‘これ’とは…………
今、女子高生に人気のなにやら主人公の女の子が異世界にトリップする話の漫画らしい。
「そんなにおもしろい?」
「うん!!今ね、クレルストがちょーカッコいいの!!」
クレルストとは、漫画に出てくる主人公を守る騎士のようだ。
「クレルストねぇ………」
「柚愛も読んでみればいいのにぃ……」
「あたしはパス」
「えぇ〜〜……柚愛、女の子じゃない!!!」
「は!?失礼な!!」
そりゃ裕子みたいに出てるとこ出てないし、女の色気とか艶とかないけど………
一応女だよ。!!!
「だって!!女の子なのにファンタジーに憧れないって…」
「ん〜〜、嫌いなわけじゃないけどありえないじゃん」
「そこがいいのに!!」
「あたし的には、フツーの学園ドラマとかの方が好きだなぁ」
「それもいいけど…………あっ!!!」
「!?なに」
「はぃ、これ」
「え…………?」
「ちゃぁぁぁぁんと読んでね?」
裕子から笑顔で渡されたのは
物凄く分厚い本を三冊。
「は………はは」
笑顔の裕子は怒っているときよりも倍以上の怖さがある。
よって断るのは不可能だ。
どんまい、自分……