「こいつは俺の弟のツレのヤャちゃんで−す!」


元気よく天使の肩を叩くゼン。


「あ、どぉもぉ。本当は井上愛っていいます。」


微笑む彼女の頬は


ふんわりピンクだった。



「あ、木村優太です。よろしく。」


『よろしく』と言いながら俺は冷静に考えた。



…よろしく?
何で??

ゼンは普段違うジャンルの女の子なんか滅多に紹介してくれねぇのに…

まぁ可愛いからいいか♪



「"優太さん"でいいですよね。ゼンさんからたまに話聞いてました。大学からやり始めたけどダンスが上手いんだって。」


ゼンはまたこっちを見てニヤニヤする。


「ゼンってばハードル上げんなよなぁ!」


とか言いながらまんざらでもない俺。決してナルシシズムではないんだけれど。


「で、愛ちゃんはどのジャンルなの?ガールズ?あ、わかった!ジャズでしょ?超しなやかそ〜♪♪」


"愛ちゃん"とか言いながら少々テンパり気味の俺。
すると愛ちゃんは少し驚いた顔をした。

そして、驚いた顔で言い放った彼女の一言に、俺は更に驚いた顔になった。


「何言ってるんですか♪同じチームなのに。スパルタでよろしくです♪」