地獄のハーレム

試合は一進一退の攻防を繰り広げ気付けば後半ロスタイム……5-5の点取り合戦の中、両チームラストチャンスを伺っていた。

その時、一樹達のゴールに敵チームが乗り込んでくる。

「ヤバいよ~カズくん頑張れ~!!」
「おいおい…一樹が戻らないぞ?あいつまさか試合を捨てたんじゃ……」

--尾崎があの時言った通りだな。相手は特にうまい3人だけのチーム。まぁそこをついて俺らも点を取れたわけだが……

「俺の嫌いなチームスタイルだ……サッカーは全員でやるものだ。端から仲間を信用としないチームが俺達に勝てるかよ」

一樹は自分のゴールを見守りつつ機会を待っていた。

「常に仲間を信じてる。必ず守り抜きここまであげてくる」

相手シュートを全員で防ぎ、ボールは由紀の元へ……遠く先に一樹を見つけ超ロングセンタリングを上げた。

「ほらな♪距離もバッチリ、高さもバッチリ……」

「行けぇ一樹!!」
「カズくん!!!」

審判が時計を見てホイッスルに手をかけた時、相手を数人に囲まれた中で、一樹の体が宙に舞う。

--終わっちゃう
「羽田……決めて!」

青いユニフォームが反転、高い打点から一樹の足が降り下ろされた。
ボールは風を受けながもスピードに乗り、ブレながら相手ゴールに突き刺さった。

「凄い……オーバーヘッド……」

「よっしゃあゴーール!!!」
多くの歓声の中行われた決勝戦は、一樹の鮮やかなオーバーヘッドシュートで締めくくった。