地獄のハーレム

「来たぁ♪羽田くん達のA組だよ」
「きゃあ〜羽田くん頑張って〜!」

「ははは…一樹すっげぇ人気」
「コートの周り埋め尽くしてるよ」

センターサークルに並んだ両チーム。
試合開始前に各自ポジションについた。

「尾崎、緊張してるか?」
「そんな事ないわよ」

「俺はこのホイッスル鳴る前が一番わくわくするんだ♪最後まで楽しめたチームの勝ちだからな。みんなで楽しもう」
「うん♪」

ピーッ!!
フィールドを取り囲むギャラリーは、一斉に歓声をあげる。

一樹は一人相手ゴールへ攻め込むが、待っていたかのように囲まれてしまう。

(さすがは決勝の相手だな……一筋縄じゃいかないな)
「くっ……」

ボールを奪われた一樹を置き去り、全員に攻め込まれる。

「全員で掛かってくるか……パスコースが読めない……」

(やられた……最初からコレ狙いか…)
先制点を取られたA組……一度やられた一樹はおとなしくパスを回す。
何度か回されたパスは由紀に渡った。

「行くしかないわね」
一人ドリブルで攻め込む由紀に相手が束になって襲いかかる。

「ヤバい……さっきの二の舞だ。由紀!!こっちだ!」
「羽田!?」

「カズくん……」
「今、由紀って呼ばなかった?」

パスを受けた直後トップスピードに乗りそのまま放ったシュートはゴールネットを大きく揺らした。

「っしゃああぁ!!!」

「なに……いまの……ウェイト着けたままの決勝戦で…」
「想像以上だね……」
「まだ同点だよ。また3人で点取ろう」

「羽田……ちょっと……」
「どうした?」

相手の話を聞いていた由紀は、一樹に新たな作戦を告げる。

「なるほどね♪それは面白そうだやってみるか」