2階……3階と登り着いた4階。
壁に背中をつけ、曲がり角の先を静かに覗く一樹の姿は、突入前の警察のよう。

「大丈夫だ……行くぜ。…………あれ?


後ろを振り返ると、さっきまで着いてきていたアケミ達がいないことに気づいた。
「トイレかよ……」
ーーっ!!違う……アケミはともかく、尾崎は俺を疑っている。何も言わず離れて俺をひとりにしないはず……
犯人に拉致られたか!!

「くそっ!!アケミ~!!!!尾崎~!!!!返事しろ」
ーー今日から宿直つけるっていってたな。宿直やら犯人に気付かれようが関係ねえ。

一樹は大声で呼びまわり、一つ一つ教室を開けて探した。