一樹がまず向かったのは理事長室……

「婆ちゃん……いる?」
「一樹。もう退院したのかい?」

「うん。朝退院してきた。それより、俺の前にいた男の事聞かせて」

「知っちゃったんだね。お前には知られたく無かったんだけど……あれは本当に恐い事件だったわ」


――婆ちゃんの話は、ネット以上に生々しい……それに一番気になる犯人だが、まだ捕まっていない。
「犯人がまた、乗り込んでくる可能性もある訳か……」

「一樹は犯人グループに入らないようにね」

「分かってるよ♪婆ちゃん……明日、全校集会開いてくれないか?俺、まだ自分のクラスの奴らとしか喋ってないんだ……他のクラスはまだ不安でいっぱいだと思うから」

「それが良いかもね〜♪分かったわ。明日の朝開くわ。今日はもう帰るのかい?」

「教室に顔出してから帰るよ」

理事長室を出て行く一樹の背中をニコニコしながら見ている祖母。
「昨日までは自分のクラスで手一杯だったのに、もうこの学園を相手しようとするなんてね〜」