無駄に広い個室に移り、少し横になった一樹。

――アイツ……俺の事で大泣きしてた。
少しずつだけど前に進んでる気はする。


コンコン……
「は〜い」


「羽田……入るよ」

ビニール袋を提げた由紀が病室に入り、一樹の隣に座った。

「飲み物と、リンゴ……あと充電器。無いって言ってたから」
「マジで!?ありがとう〜♪」


「リンゴ……剥いてあげるね」


――やっぱり何か変だ。もしかして全部夢で、まだ俺は起きてないのか?
「いででで………」

「何してんの?」

「いや、夢かと思って……でも、夢じゃなかった♪」