車を確認してすぐ、一樹は鞄を放り投げ女の子の所へ走って行った。

――こんなにタイヤ鳴らしてるのに気付いてないのか?
「嫌だろうけど我慢して……」

「えっ!?」

女の子を抱え上げ、歩道に逃げようとしたが、車は既に一樹の目の前に来ていた。


――間に合わねえ……


ガンッ!!

脚を思い切り跳ねられ宙を舞う一樹……

――死んだかも……どうせ死ぬなら、この子だけでも護って死にてえ……


一樹は女の子を思いっきり抱きしめ体を反転……自分を下にして地面に叩きつけられた。
あまりに一瞬の出来事に、メイは立ちすくみ、商店街の人達はざわめいていた。

「き……救急車だ!!男の子が跳ねられたぞ」

「カズくんっ!!」
「おい……あまり揺らさない方が良い。頭を打ってる……」