花火終盤、自然と見つめ合った一樹と由紀。
誰も見てない2人きりの空間でキスを交わした。

「由紀、冬休みにみんなでアメリカ行かない?」
「アメリカ?」
「俺の両親がいるんだ。親同士の顔合わせと、これから先の事もきっちり話したいんだ」
「うん。行きたい」

「決まりだ♪由紀達はパスポートはある?」
「お母さんは持ってるみたいだけど、私と美希はないよ」
「俺もないから、由紀達も婆ちゃんと一緒に取りに行こう。パスポート代もみんなの旅費も婆ちゃんが持ってくれるってさ」

「えっ⁉︎そんな…悪いよ……」
「いいんだよ。今はお世話になって後々俺達が社会人になったら婆ちゃんに恩返ししよう」
「うん♪」

いよいよ未来へと舵を切った一樹達には、全校生徒にバラされるぐらい何でもなかった。

最後の1発が打ち上がると同時に、長い間キスする2人。
「一樹、大好き」
「俺も大好きだよ、由紀」

「おっ⁉︎いたいた♪お〜い一樹〜由紀〜!!」
「アケミ⁉︎」
「あんまり熱い所見せるなよ〜♪これからA組の打上げ行こうぜ〜」

「熱い所見せるなって……前にも言われた気がするな」
「病院だね♪懐かしいな〜」
「行こう由紀」
「うん♪」

………
……

プールを出た2人を待っていたのは…
「羽田くん、彼女いたの⁉︎」
「え〜やだよー!!」

(アケミのヤロー……)
「一旦散ろう。アケミ!お前が撒いた種だからなっ!由紀を頼むぞ」
「おう♪店はいつもの所だからな」
「あぁ!すぐ行く♪」

一樹は大勢の女子達に追われ、校舎へと消えていった。
「アケミのせいだよ!何も全員に言わなくても…」
「あはは。わりぃ♪でも、みんな助けてもらったり楽しませてもらって、一樹に何かしてあげたかっただろう?花火をプレゼントっていいアイデアだと思ったのになぁ」

「一樹、喜んでたよ。結果的に良かったのかもね」
「だろー♪」
「最後の一言が余計だけどね」

「お〜い!由紀〜。カズくん猛ダッシュで走っていったけど……やっぱりアレ?」
「そうよ、アケミのせい♪みんな揃ったし先に打上げ行こう」
「何だ〜由紀、ちょっと嬉しそうじゃん」
「うるさい!」