「一樹?入るよ...」
中から返事はなく、由紀は静かに扉を開けた。

「うわぁ♪凄いよ〜」
由紀は飛び跳ねて喜び、周りを見回す。
カウンターでは椅子に座った一樹が寝息をたてていた。

「一樹...来たよ」
「由紀...俺、いつのまにか寝てたのか...」

「教室凄い変わったね。びっくりしちゃったよ」
「だろ〜♪」
「あはは顔ホコリで真っ黒だよ。ちょっと待ってて」

ハンカチで一樹の顔を丁寧に拭くと、お互い見つめ合ってしまう。
「由紀…」
「一樹…」

「俺さ、ここ卒業したら大工になろうと思う」
「うん。一樹ならきっといい大工さんになれると思うよ♪」
「ありがとう。そうしたら一緒に住んでくれる?」
「それって…もしかして」

「プロポーズはもう少し後にとっておこうかな♪ちゃんとした時に言いたいから」
「うん!」

「来週の文化祭楽しみだな」
「いっぱい楽しもう。最後に花火も上がるんだよ」
「一緒に見ようね」
「絶対だよ。一樹人気ありすぎて誰かに取られちゃいそうで」

「大丈夫。もしはぐれちゃったら、プールで待ち合わせよう。必ず行くから」
「うん♪」