地獄のハーレム

その後も昔の話を聞きながら木箱を作り終えた。
「完成だな。それにしても筋が良すぎる。さすがあの人の孫だ。で、いきなり手伝わせちまって悪かった。うちに何か用だったか?」

「あっそうだ。文化祭で使う木材を譲ってほしいんです。テーブルやら椅子やら作るんですけど……」
「あぁいいとも♪君ならいくらでも使ってくれてかまわない」

「やった♪」
一樹は山のように積まれた木材を一つ一つ手に取り眺める。

(随分真剣に見てる……あれ?)
「親方……」

一瞬一樹の背中に親方の姿を見た男。しばらく一樹を見ていた。
「この木材を…うまくすれば……うん!無駄なく使えそうだ」

「羽田くん。決まったかい?車のせてくれれば麗華まで運んであげるよ」
「本当っすか、良かった~30枚ぐらい選んだから往復覚悟してた」

「この量を君一人で?」
「そうっすね。測量、裁断、組立、削りにつや出し。やることはいっぱいっすけど俺がやらなきゃ意味ないですからね」

『ここに学校を創る!!俺がやらなきゃ誰がやるんだ!!』
「親方そっくりだ♪君に贈り物がしたい」

男が取り出したのは使い込まれた大工道具一式。
「君のおじいさんが使ってた物だよ。ここを受け継いだ時に一緒に引き継いだが、これは君に相応しい。卒業したら、ここで一緒に大工やらないか?」

「じいちゃんが言ってた俺を大工にしたいって願い。俺じいちゃんっ子だからな~。なるよ!ここで大工やる」
「そっか。親方喜ぶぞ。じゃあそろそろ麗華に行こうか」
「お願いします」